ドイツ人と円滑に仕事をするためには、ドイツ社会の仕組みや価値観、伝統や文化を知り、それに適応することが不可欠です。
ここでは特に留意したいビジネス上のマナーとして、5つのポイントを確認しましょう。
時間厳守は鉄則
ドイツ人は時間に正確で、約束に遅れることを良しとしないのが一般的です。致し方ない理由で遅れてしまう場合は、必ず予め一報を入れ、相手が納得する理由でその事情を説明する必要があります。きちんとした理由があれば、理解してくれる場合がほとんどですので、誠実に対応しましょう。
アポイントメントは必須
ドイツでは、おおよそ殆どのことにおいて、事前にアポイントメントを取るようにしましょう。アポイントメントなしの訪問は、十分な対応をしてもらえない場合がほとんどと言えます。個々のケースにもよりますが、一般的に2週間〜1ヶ月程度前に電話かメールや文書でアポイントを取ることがマナーと言えるでしょう。
出社も退勤も早い
ドイツ社会の朝は早く、多くの会社が朝8時頃から始まります。フレックスタイム制も普及していますので、早く働き始めればそれだけ早く帰れるという意識や、30分程度の通勤圏内に住んでいるため通勤時間が短いというドイツの中規模都市形態とも関係があるでしょう。近年、グローバル化や競争も一段と激しくなり、ドイツ人のワークスタンスも変化しているとはいえ、管理職を除いてはほとんど残業をしません。終業時間には会社を出ることが目標で、終業15分前から仕事の片付けを始め、終業時間キッカリに会社を後にするという姿も珍しくありません。また、金曜日は特に注意が必要で、出勤を早めたり他の曜日に長く働くことで、15時頃には終業するパターンも見られます。金曜日午後のアポイントメントや連絡には注意しましょう。
長期休暇や祝祭日/お祭りシーズンに注意
普段は対応やメールのレスポンスも早いドイツ人ですが、夏休みやお祭りシーズンの前後は、格段に遅くなります。日本のように、社員が長期休暇の際は他の社員がフォローに入るというような体制は少なく、コンタクトパーソンがオフィスに戻るまで待たなくてはならない場合がほとんどです。
肩書きを忘れずに
ドイツ人は、資格を示す肩書きを重んじます。実際に、博士号を持つ部長や取締役も少なくはなく、特に「Dr.」や「Prof. Dr.」の肩書きを持つ人の名前を呼んだり書いたりする場合は、これらを忘れてはなりません。「Dr.」や「Prof. Dr.」等の肩書きは、一般的に使用するHerr (英語でいうMr) やFrau (Ms) の後に続けて書きます。英語とは異なる点ですので注意が必要です。
また、ワイマール共和国の発足に伴い廃止された貴族制度ですが、いまだ特別な思いが残っており、「伯爵」などに対して敬意や関心が高いと傾向があるようです。貴族の称号を有する人に対しては、名前の前に称号を付けることが望ましく、HerrやFrauは付けません。