ドイツの大学・大学院進学

近年脚光を浴びている”海外で学費が無料の国”。ドイツもその国の1つです。ここでは、ドイツの大学・大学院進学をお考えの方に、概要をコンパクトにご紹介したいと思います。

 

ドイツの大学に進学するメリットとは?

昨今、学費が無料の欧州の大学が注目を集めています。非英語圏ではないけれど、長期的な滞在になる進学では、費用を抑えられる留学先にはメリットを感じる方が増えてきています。

ドイツ進学には、どんな利点があるのでしょうか。

❶ なんといっても、国立大学は学費が原則「無料」

例外として、一部の課程(MA, M.Sc, Dr.など)や私立大学は学費が有料です。

また2017年秋学期以降は一部の州(Baden-Wuerttemberg)の大学では、EU外からの外国人学生を対象に有料の学費(1,500ユーロ=およそ20万円*/学期)が課されていますので、この点はご注意ください。

カウンセラーからのアドバイス

授業料以外には、入学時の受験料を課す大学がありますが、いずれも少額です。また入学後、学籍登録時にはセメスター毎の登録費(Semesterbeitrag)を納めますが、これも200〜500ユーロ前後で、年額(2学期)でもおよそ5〜13万円前後* が一般的です。

❷ 国立大学はどの大学もレベル・水準が高い

ドイツの教育システムでは、10歳前後で将来の道の大筋が決まり、早くから大学進学を目指すコースと、専門学校や職人学校に進む道が分かれています。大学以外の選択肢もあるため、以前は大学への進学率は低く、10年前には40%前後が一般的でした。

近年はドイツでも高学歴化が徐々に進み、大学への進学率が上昇傾向にあり56%程度です。ですが、ドイツ人にとっての大学入学資格を得る試験(Abitur)の合格率も30%強と言われ、厳しい振るいにかけられます。

その後、大学に入学する層は学力水準が高く、よって大学のレベルは高水準で、アカデミックな場として世界的にも高評価を受けているのです。

❸ 大学の外国人留学比率は平均12%とインターナショナル

学費が無料である国策も後押しして、世界中から学生が進学するドイツの国立大学。EU内での交換留学や学生間の交流も盛んなことから、大学キャンパスは国際色豊か。必然的に、大学の事務局では英語が通じて外国人留学生にも優しいサポートです。

大学を卒業後も、EU外からの外国人学生にはドイツ社会での就活のための滞在ビザが支給されるなど、国費を投じて育成した優秀な人材が、卒業後に国外(母国含め)へ流出しないよう対策にも余念がないのです。大学卒業からのドイツ就職まで、しっかりパイプがつながる点も、外国人学生には大きなメリットといえます。

❹ 生活費も抑えられ、学生割引も充実。まさに「学生天国」!

学費が無料でも、物価が高い国や失業率が高い国では、学生が安心して学業に専念できないですが、ドイツはその心配が少ない国の1つ。

近年、光熱費や都市部の家賃の高騰はあるものの、物価も標準的で、質素なお国柄もあり、学生は浪費をしません。交通費の割引や市が運営する学生寮利用など、生活費を抑えて暮らすことができる環境です。

カウンセラーからのアドバイス

日本からの学生は、ビザの関係上、アルバイトができる日数の上限はあるものの、働くことも許可されているため、学業の合間にアルバイトをして生活費を補充することも可能です。学生のアルバイトの場合は、1ヶ月450ユーロ以上を超えない「Minijob」と呼ばれる制度内の収入が多いようです。

 

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ドイツの大学の特徴とシステムについて

現在ドイツには約400近くの大学があります。学生数はおよそ300万人弱で、うち60%強が一般大学(Universität)、35%は専門学校(Fachhoschshule)、美大や芸大など芸術大学は1%強に在籍するという比率です。基本的には、入学には年齢制限はありません。例外は、芸術大学の場合です。

以前までは、ドイツではMagister(文系)やDeplom(理系)という学士課程と修士課程が合体した独自の学位システムを採用していましたが、現行では欧米先進国同様に学士(Bachelor of Arts, Bachelor of Science)、修士課程(Master)が一般的です。(たまに旧システムが続行している場合もある)

学士課程は卒業まで3〜4年(6〜8 Semester/フルタイム)、修士課程は2年(4 Semester)前後です。

なお、ドイツでは「聴講生(Gasthörer)」という制度もあります。これは、大学に入学(在籍)せず、従って単位(学位)は取れませんが、大学の講義は聴講できる制度です。事前の登録が必要で、聴講料も納めることが一般的です。聴講申し込みは学期毎、最長で聴講できる期限が設定されている場合もあります。

カウンセラーからのアドバイス

近年、ドイツで英語で入学ができ単位が取れる大学の問合せを沢山お寄せ頂きます。一部の学士課程(文系の場合は英文学、理系では工科系)と、修士課程以上では英語開講の選択肢もだいぶ増えてきましたが、それ以外はまだメジャーではありません。また、英語で受講ができる大学でも、入学時にはドイツ語力が必要な大学もあります。大学選定の際は、必ず出願要項も確認しましょう。

 

ドイツの大学・大学院は、入学条件(後述)を満たしていれば出願ができます。

ただし、医学部や薬学部など特定の学部には入学制限(NC/Numerus Clausus)があるので、必ず入学制限の有無を確認しましょう。NCの表記がなければ、定員設定はないため、出願条件を満たし、期日に不備なく提出すれば入学通知書が届きます。その後、正式に学籍登録をして晴れて入学です。

出願の方法は、大学へ直接出願と審査機関(Uni-Assist、後述)の出願方法があります。同じ大学内でも学科によって異なっていたり、同じ学科内でもEU内とEU外の学生で違うこともありますので、細心の注意が必要です。

芸術大学では、書類審査とともにポートフォリオの提出や、二次試験での実技試験・教授との面接もあります。出願時期や期間が一般大学とも異なります。余裕を持って調べましょう。

一般大学は、芸術大学のように二時試験や実技試験がないかわりに、学科選択のオリエンテーション(OSA/Online-Self-Assesmenst)や、入学時には基礎学力テストや適性検査(TestAS Zertifikat)を課している大学があります。

これは、希望課程や学科進学に適しているかのチェックや試験で、基本的には不合格にするためのテストではありませんが、海外進学では母国での学歴(選択した教科や内容・カリキュラム)との溝が生じることも往々にしてあります。また、慣れない外国語での勉学になりますので、それらを含め、覚悟をして進学に臨む必要があります。

カウンセラーからのアドバイス

メリットの多いドイツの大学も、入学後の現実は大変厳しいことを知っておくべきかもしれません。学士課程の30%近くが卒業前に退学、理系に限ってみると実に50%!というデータもあります。以前は大学在籍年数に上限がなかったドイツも、在籍できる年数の上限が設定され、退学者数の増加に拍車が掛かったことも要因にあるようです。いずれにしても、入学よりも卒業することが大変という事実もしっかり覚悟しなくてはなりません。

 

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有名大学はどこ?ランキングや偏差値はあるの?

「ドイツに有名大学はありますか?」「ランキングの高い大学に進学したいのですが・・・」そういったご相談をよくお寄せ頂きます。日本のような学歴社会を経験してきた日本人の学生さんにとっては、まずはランキングや偏差値を見比べながら出願校を選定したいお気持ちも重々分かります。

ですが、ドイツにはランキングや偏差値が存在しません。

理由は、ドイツの大学に進学するメリット(2)でもご紹介のように、国費で賄われる大学運営では、必然的にアカデミックの水準が高い学生が集まり、ランキングや偏差値をつける理由がないからです。

とはいえ、各大学で注力している専門学科があったり、国の補助制度を支給し最新研究に取り組む研究所を持っていたり、世界的な大学ランキングで常連である大学など、いくつかのポイントや側面、特徴はあるようです。

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ドイツの大学選びのポイント

英国の高等教育専門誌Times Higher Education(通称: THE)による WorldUniversity Rankings 2019 (overall評価)によると、世界の大学TOP100にはドイツから8大学が選出されています。(大学名は英語表記です)

  1. LMU (Munich)  → 32位
  2. Technical University of Munich  → 44位
  3. Heidelberg  University  → 47位
  4. Humboldt University of Berlin  → 67位
  5. University of Freiburg → 76位
  6. RWTH Aachen→ 87位
  7. University of Tübingen → 89位
  8. Charité Universitätsmedizin Berlin→ 90位

こうした世界水準の調査機関のデータを参照にするのも1つの指針にはなります。

また、ドイツ国内の大学評価の視点では、”Exzellenzinitiative” に選出されている大学を注視することも1つの目安かもしれません。

Exzellenzinitiativeとは?

Exzellenzinitiativeとは、主に理系の分野を中心に、ドイツ政府が後押しする研究や開発分野を進めている大学(研究室)を選定し、助成金補助(4年間)をするプロジェクトです。

国がいま最も注目し、推し進める最先端の研究分野なので、エリート大学奨励制度として有名大学ならびに優秀大学の称号の1つともされています。2012年から開始した第3ステージ以降は、2019年半ばより要綱を変革し進められていくようです。

さらに工科大学を目指す皆さんにとっては、「TU9」を覚えておいて損はないでしょう。

“TU9″とは?

TU9は、国内名門の9つの工科大学(Technische Universität)が2006年に設立した連合体です。

アーヘン工科大学、ベルリン工科大学、ブラウンシュヴァイク工科大学、ダルムシュタット工科大学、ドレスデン工科大学、ライプニッツ·ハノーファー大学、カールスルーエ工科大学、ミュンヘン工科大学、シュトゥットガルト大学で構成されています。

ドイツ内外の産業や研究施設、世界中の名高い高等教育機関と提携していて、実にドイツのエンジニアの半数が、このTU9のいずれかの大学の卒業生というデータもあるほど、非常に存在感があります。

有名大学と呼ばれる大学が、万人に適しているか、というと、そういう訳でもないと割り切ることもでき、多くのドイツ人はこうしたランキングは、意外にもそれほど重視はしていないようです。

最も大切なことは、学びたいことが学べるか です。

そうした観点から地に足をつけて進学大学を選定すると、いくつかのポイントで絞っていくこともできるでしょう。例えば、次のような項目です。

❶ 科目選択 → 大学の強い分野・専攻は何か、教授はどんな研究が得意か?

❷ 入学条件 →  条件や成績(学歴/語学力)が足りているか?

❸ お金 → 都市の物価は?(家賃や生活費)

❹ 環境 → マンモス大学VS.小規模大学

❺ 周辺要素 →  保育園や学生寮、食堂のクオリティーなど

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ドイツの大学情報の収集方法

日本でドイツの大学情報を入手するのは、英語圏進学に比べて至難の技かもしれません。しかし、いくつかの方法で事前の情報収集はできるので、根気強さをもってリサーチしてみましょう。

まず、ドイツ大学で検索ヒットするのがDAAD(Deutscher Akademischer Austauschdienst)。ドイツの大学が協働で設置している学術機関です。DAAD本部はドイツのボンですが、東京事務局も構えています。

主なミッションは、大学間における国際交流を促進、 国内外の研究者・大学教員・学生を対象にしたプログラムやプロジェクト実施と情報提供、各種奨学金情報の開示をしています。

DAADでは、大学データベースがあり、学びたい学科、専攻、出願条件、日程などが調べられる他、サマーコース等の大学プログラム検索できます。

DAAD検索サイト(英語版)

以下のサイトでも、学部検索やドイツで学べる学科について調べることができます。

Study in Germany(Higher Education Compass/英語版)

Zeit Campus Online(ドイツ語版のみ)

日本で進学準備を進める場合、大学関係者と直接接する機会は残念ながら少ないのが現状です。

とはいえ、皆無ではありません!

近年、日本でも開催されている「欧州留学フェア」を有効に利用してみましょう。

年1回(5月)の開催で、来日する大学ブースでは、大学のパンフレットが配布され、学部案内や相談スタッフが質問に応じてくれるので、希望大学が出展している際は要チェックのイベントです。より具体的なイメージを掴むことができるかもしれません。

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ドイツの大学/大学院への入学条件

ドイツの大学への入学条件は、2つあります。

①「語学力証明」

一般大学では、C1レベル前後が求められます。ただし、出願する大学・大学院、専攻学部・学科、課程により全て異なるため、必ず希望大学の出願要項にてご確認ください。

②「ドイツの大学入学試験(Abitur)に相当する学力」

Abitur(アビトゥア)とは、日本の中高校に相当するドイツの学校ギムナジウムに進学したドイツ人が大学進学のために受験するテストで、少なくとも2年以上は在籍していないと受けられないテストです。
日本人の場合は、このアビトゥアに相当する学力は、以下のように定められています。
  • 12年間の学校教育を修了して高校卒業[数学、理科(1科目)、外国語(1科目)、国語を履修した上で卒業]+センター試験結果(受験科目:62%以上)を取得している
  • 日本の大学(全日/4年制)を卒業(学位号の取得)もしくは、1年以上修了し、1年で35単位以上を習得している
  • 日本の短期大学を卒業している
原則は、上記のいずれかの相当する最終学歴をお持ちでれば、ドイツの大学に入学ができます。
その上で、入学できる専攻学科、課程、条件が異なりますので、次の概要チャート表をご覧ください。

上記以外の経歴をお持ちの方で、ドイツの大学・大学院への入学の有無を確認するには、希望大学へのお問い合わせをお勧めします。

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ドイツ進学にかかる費用概算はどのくらいか?

「学費が無料の国」とは言えども、海外での一人暮らしです。滞在には最低限の生活費と渡航費は必要です。問題は、それらの費用がどのくらいなのか、です。

主なカテゴリー別で見ていきましょう。

まず学費

基本的には、一部の州を除いてドイツの大学(国立大学の学士課程)の学費は無料ですが、学期毎に納める学籍登録費は必要です。(200〜500ユーロ/学期)

また、大学入学前に語学留学が必要な場合は、入学条件に必須の語学力まで高めるための語学留学の学費を考えなければなりません。

プログラムの集中度や留学期間によって授業料が異なりますが、例えば半年間でおよそ1,800〜6,000ユーロ(およそ25〜78万円*)と差がでます。

次に考えるべきは生活費

一般的な学生の1ヶ月の生活費は、月600〜1,200ユーロと住む都市(物価や家賃総額)によって差があるようです。これらには、家賃、光熱費、食費、旅行・娯楽や余暇に掛かる費用等が含まれます。

具体的な年額の目安として、ビザを取得する際の設定金額があります。

月720ユーロ×12ヶ月=8,640ユーロ(1,123,200円*)と設定されているので、1年間の生活費はおよそ110〜120万円*ほどが目安になります。

4年間留学生活を送る場合は450万円*前後、入学前に1年間の語学留学をする場合は550万円*になります。

そして渡航にかかる費用

海を渡って渡航するため、航空券代(往復または片道)を考慮しなければなりません。シーズンにもよりますが、ヨーロッパ行き片道/経由便チケットは6〜10万円前後、往復/直航or経由便(1年間有効FIXOPEN)では10〜25万円が相場のようです。

最後に忘れてはならないのが保険加入代

これもビザ申請の際には必須項目。ドイツの場合は、渡航時から適応される歯科治療、女性の場合は妊娠・出産時にも対応した疾病保険に加入している必要があります。これはあいにく現行の日系保険では網羅が難しい条件とされています。

加えて、長期での滞在の場合は、万が一に備えて自賠責や家財にも対応した保険オプションをつけておくと安心です。

保険代は月50〜60ユーロ前後が一般的。1年間9~10万円*前後です。

4年間留学生活を送る場合は35〜40万円*前後、入学前に1年間の語学留学をする場合は5年間の加入で約45〜50万円*になります。

大学入学〜卒業まで(学部4年間想定)は、必要予算は約500万円*は最低ラインです。

ただし、ドイツのビザ申請では1年更新が多いため、資金証明も年ベースでOK。つまり初年度分として生活費+渡航費(航空券・保険代/片道)130万円程度でも正規留学がスタートできる計算です。

カウンセラーからのアドバイス

とはいえ、ドイツの大学にストレート入学する方以外は、事前の語学留学も必要ですし、入学後も学業とアルバイトの両立はすぐには大変です。留学の計画を立てる際から、2〜3年分の留学予算として、およそ250〜350万円*は出発前に資金確保をしてほいたほうが無難でしょう。

*1ユーロ=130円換算の場合

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大学進学までの流れ

 

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