今回、新しく制定されたドイツの新しい移民法 (FEG) により、職業訓練を受けた熟練技能労働者や実践的な知識を持つ方が、よりドイツに移住しやすくなりました。
アフィニティでもサポートをしているドイツでの語学留学やドイツでの大学進学をされた方がそのままドイツへの移住をしやすくなるこの法律について少しお伝えしたいと思います。
この規定は 2023年11月から段階的に導入され始めたので、改正の流れについてご説明していきます。
本記事は、改正の内容をわかりやすく要約したものです。
正式な法律の改正については以下のリンクよりご確認ください。
原文:https://www.make-it-in-germany.com/en/visa-residence/skilled-immigration-act
2023年11月:熟練技能労働者の滞在許可の権利の改正
職業訓練資格を持つ熟練技能労働者と、大学の学位を取得した熟練技能労働者の滞在許可に関する2 つの法的根拠が以下の通り改正されました。
- すべての要件が満たされれば、申請者は滞在許可を取得する権利が得られます。
- 従来は、取得した専門資格に関連する業種でのみ働くことができるという制限ありましたが、それらが削除されます。
応募者が職業資格や大学卒業資格を持っていれば、就職活動の際にその資格に関連する仕事に限定されることはありません。
*一部の職業には制限があります。(例:看護師、医師、教師、弁護士など)
「資格のある専門家のための就労ビザ」の具体的な要件などの詳細は、こちらのページ(英語版)をご覧ください。
【要約】持っている学位や資格に関連する仕事でなくても、滞在許可が申請できるようになりました
新しいEUブルーカードの規定
- 給与基準額の引き下げ:
通常の職業及びボトルネック職業(数学、IT、科学、工学、人間医学)における EU ブルーカード取得要件である給与基準額が大幅に引き下げられます。
将来的には、年金保険の年間拠出評価上限の45.3%(2024年の場合€41,041.80)が最低基準給与額として適用されることになります。
*他のすべての職業の場合、この数字は 50% (2024 年: €45,300 )になります 。
- EUブルーカード取得層の拡大
・ドイツ労働市場への新規参入者:
過去 3 年以内に大学を卒業した外国人は、ドイツで仕事をする場合の給与が年金保険の年間評価上限の 45.3% (2024年の場合€41,041.80)の最低基準給与額を上回る場合、EU ブルー カードを取得できます。
(これはボトルネック職業と通常の職業の両方に当てはまります。)
・IT スペシャリストの特例:
IT スペシャリスト場合は、大学の学位を持っていない場合でも、少なくとも3年間の実務経験に準ずる専門的な経験があることを証明することで EU ブルー カードを取得できます。
(この場合、ボトルネックとなっている専門職には、より低い給与基準値が適用されます (年間評価上限の45.3%、2024年の場合€41,041.80)。
・ボトルネックとなる職業の対象業種拡張:
EU ブルーカードのボトルネックとなる職業のリストが大幅に拡大されます。
既存のボトルネック職業 (数学、IT、科学、工学、人間医学) に加えて、以下の職業の熟練技能労働者は、一定の要件を満たしていれば EU ブルー カードを取得することができます。
・製造、鉱山、建設、流通の管理者
・情報通信技術サービス管理者
・保育、医療など専門サービスの管理職
・獣医師
・歯科医
・薬剤師
・看護師または助産師
・学校および学校外の教師および教育者
*日本の資格保持者の場合、ドイツでの認定手続が必要+業種に応じたドイツ語力(B2~C1)必須
ボトルネックとなる職業の詳細リスト(英語版)はここでご覧いただけます。
【要約】専門スキルのある人に対するEUブルーカード発行の要件が緩和されました。ドイツで足りない専門職の技術者を他国から補充するのが目的です。
2024年3月:新しい雇用と承認に関する規則
熟練技能労働者の雇用
- 実践的専門知識の特例:
この特例は、実践的な高度専門知識を有する人材の雇用を拡大するため、あらゆる分野の職業に適用されることになります。
実践的な高度専門知識を有する人材とは、研修先の国が認める大学の学位または専門資格を取得している人を指します。
*専門資格を取得していて、かつ、最低2年間の研修期間が必要です。
*応募者は希望する職種で最低 2 年の実務経験が必要になります。
(例:日本の大学卒業+実務経験など)
ドイツで資格認定をする必要はありませんが、最低基準給与額€40,770ユーロ(2024年現在)を満たしている雇用契約があることが必要となります。
IT スペシャリストの場合、必要な専門職経験が 3 年から 2 年に短縮されたことで、労働市場へのアクセスがさらに容易になりました。
(専門資格や大学の学位は不要、滞在許可申請時のドイツ語力も必要なくなりました。)
この場合も、最低基準給与額€40,770ユーロ(2024年現在)を満たしている雇用契約があることが必要となります。
- 看護助手の労働市場拡大:
医療従事者の労働市場に関する規則に、第三国からの看護助手に関する規定が追加されます。
規定の看護訓練を3年(従来はは3年以上)受けたすべての第三国国民(外国人)は、医療・介護分野で働くことができるようになります。
ドイツで関連する看護の職業訓練を受けているか、ドイツで認められている外国の看護資格を持っていることが要件となります。
- 医療および看護専門職のトレーニングを受けた求職者:
将来的に、ドイツでの研修を修了した第三国の看護師や介護助手が、求職者向けの滞在許可を申請できるようになります。
滞在許可は最長 12 か月発行され、申請者が現地で仕事を見つけ継続を希望する場合は最長 6 か月延長できます。
- 外国からの熟練技能労働者の定住許可:
・ドイツでの滞在許可を有しているが、ドイツ国内の職業訓練及び学位保持者でない外国人専門家(*日本では学位もっている必要あり)の場合、3年間(以前は4年)滞在をすることで、ドイツでの定住許可を取得することができます。
・EU ブルー カード所有者の場合は、より早く定住許可の取得が可能です。
(EU ブルーカードで27 か月の雇用後に定住許可を取得できるようになります。申請者がドイツ語B1 レベルを持っている場合、この期間は 21 か月に短縮されます。)
・ドイツで大学または職業訓練を修了した人については、定住許可に関する現行の特別規定が引き続き適用されます。
つまり、「資格のある専門家」として雇用されるための滞在許可を保持してからわずか 2 年間で、定住許可を取得することができるのです。
大学生・研修生の雇用
- 大学留学生の雇用機会の拡大:
従来の年間労働時間は、全日(フルタイム) 120 日または半日(パートタイム) 240 日でしたが、全日 140 日または半日 280 日に増加します。
また、新しい規則により、学生従業員は週に最大 20 時間働くことが認められます。給料の額や雇用形態は関係ありません。
- 職業訓練を目的とした滞在の可能性の延長:
第三国の国民(外国人)も、職業訓練を受ける目的で従来通りドイツに入国することができます。
応募者の年齢制限は 25 歳から 35 歳に引き上げられ、ドイツ語要件はレベル B1に引き下げられます。
*年齢制限に明確な規定はありませんが、従来は25歳〜30歳までの受入が一般的でした。
より詳しく知りたい方は、ドイツ連邦共和国のページ(英語版)をご覧ください。
このようにドイツ語習得をして現地での進学をした方や、一定の職業に就いている方に、ドイツは比較的寛容に移住を認める政策を打ち出しており、ヨーロッパへの移住を希望されている方や海外移住をお考えの方にもおすすめの国だと言えます。
こちらの記事を読んで、ドイツへの留学また就職を挑戦したいと思うようになった方は、ぜひ、お気軽にお問い合わせください。